うさぎ会

ナナシス と アイコネ のブログ(たぶん)

小説(?)「社内秘 MEMO」

※【注意】非公式の二次創作設定があったり、小説なのか分からない文章だったりします……


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(社内秘)203X.XX.XX

(III社のロゴがここに記載されている)


 M E M O


「アイドルコネクト-AsteriskLive-」が2016年11月30日 15:00にサービス終了したが、プロジェクト開始からサービス終了に至るまでの事の顛末は以下の通りであった。

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1.
VR技術が普及している"こちらの時代"において、秘密裡に時間跳躍通信を長年開発してきた当社、イズミ・インテリジェンス・インダストリー(III社)の技術が実用レベルに近づいてきており、検証プロジェクトが始動したのである。また、同社は、アンドロイドロボットを開発しており、集合知とビックデータの融合によるディープラーニング用の調整データの収集が必要になった。

先ず、時間跳躍通信の検証方法について検討が行われ、2015年のIII社の前身となる企業に対して行うことと決定した。検証の為できる限り過去に向かっての時間跳躍通信を行いたかったものの、受信相手が未来からの通信だと信じて貰えなければ検証が失敗する。そこで、前身企業が、時間跳躍通信の研究開発が開始して間もない頃であり、それ故、未来からの通信を受信しても信じてもらえる限界の年である2015年に決定した。

余談ではあるが、研究員によると時間跳躍通信では、時間だけではなく "次元の壁"も跳躍する、とのことであるが、本筋から外れるのと、詳細が難解になるのでここでは省略する。


2.
次に、ディープラーニング用の調整データの収集方法について検討が行われた。検討は難航したものの、前述の時間跳躍通信との検証プロジェクトを拡張してデータ収集も共に行うプロジェクト基本方針が決定した。

そのプロジェクトの中身は、外見上は普通の人間と見分けがつかない――人間に可能なことは一部例外を除き全て可能な――アンドロイドロボットを、"こちらの時代"において"現実の"女性アイドルのプロデューサーとして、アイドル事務所ごと、"現実に稼働"させるという、一見すると荒唐無稽なものであった。ただ、これは『心を動かすアイドルゲーム』と、その裏付けとしての"実在性"こそがアンドロイドロボット用のデータ収集にとって合理的、との研究員の冷静な判断――当該研究員はアスタリスクライブ開催日に必ず欠勤するアイドルマニアなのは公然の秘密であったが――による決定であった。

具体的にはより荒唐無稽と思えるもので、"向こうの時代"にてスマホ用アイドルゲームを配信し、多数のプレイヤーがプロデューサーになりきってプレイすることにより、前述のディープラーニング用の調整データ収集がなされる。その収集情報を高度に抽象化と重畳化がなされた機構によりデータ処理をし、"こちらの時代"のアンドロイド・プロデューサーが現実に自律的に行動するAIが構築される。"向こうの時代"のアイドルゲームのプレイの集積が"こちらの時代"のアンドロイド・プロデューサーのAIに、そして、AIによるプロデューサーの行動によって紡がれる各種の要素がアイドルゲームのプレイヤーにと、フィードバックが連鎖していくのである。

抽象・重畳化された概念データは「思い出のカケラ」や「コイン」としてプレイヤーに還元され、それを用いてかけがえのない「メモリー」が生成される。アイドルたちの一挙手一投足を捉えるために実は町中や店舗の防犯カメラの映像まで利用して生成していた「ストーリー」。リズムゲームパートのタイミング操作は、アンドロイドロボットの微調整機能を抽象化・重畳化したものであった。


3.
また、"向こうの時代"におけるアイドルゲーム配信方法について検討が行われた。2015年のIII社の前身企業を窓口として行われることに決定したが、III社の前身企業とってはゲーム配信は全くの専門外のため、配信を行える他社に出資・提携おこなうことに決定した。本プロジェクトは、それ自体が秘密裡に進められてきたものであるので、ベンチャーキャピタルの投資家を間に挟んで出資を行うことが決定した。

次に、出資・提携先の選定について検討が行われた。クロ社への出資・提携も検討されたが、数種のゲームアプリを配信している実績がある同社よりも、実績に乏しいCF社の方が本プロジェクトをコントロールしやすいとの判断により、CF社を出資・提携先として決定した。ちなみに、実績の乏しさにより、開発が難航してしまったので――開発の難航具合は配信の最後まで続いていたけれど――、前述と矛盾するようではあるものの、他社とのゲームアプリの共同運営の実績のあるU社が、途中から本作の共同運営に参加することとなった。

"向こうの時代"では2015年から開始され社内では年内の配信を目指していたプロジェクトであったが、当初のリリースで2016年春の配信開始予定にずれ込み、更に夏配信開始予定に延期(2016年8月16日)になった。

配信開始から短期間での「アイドルコネクト」のサービス終了は、当初の想定よりもプレイヤー数が少なかったことや、課金周りの不具合の発生などがあり、CF社が財政難に陥ったためであった。しかしながら、プレイヤー数の少なさを補って余りある程のコアなプレイヤーの活躍によって、予想以上にデータ収集の進捗が順調であった為、アンドロイド・プロデューサーのディープラーニング用調整データの収集を、サービス終了までに完了させることができた。


4.
今後は当該調整データを基にアンドロイド・プロデューサーは自律運用に入り、これからも、9人の彼女たちはアイドルとしてプロデューサーと一緒にわちゃわちゃ活躍していくことになるだろう。

その際には、時間跳躍通信やCF社を通じて、"こちらの時代"の彼女たちの様子を、"向こうの時代"の「アイドルコネクト」のプレイヤーだった人々に断続的に送信していくことを予定している。

……と研究員は前のめりになっている


以上